「あなたは!」


高橋緑は目を見開き、ガタガタと震えている。


「なぁ、まだゲーム終わってないだろ?なぜ教室出たんだ?」


「あなたに関係ないでしょ!?きっとこのまま続けでも翔には勝てない‥。そう思っただけよ!」


翔には勝てない‥か‥。


「途中棄権も負たと同じだぞ。」


「うるさいわね!自分の身は自分で守る!!キシなんて逃げれば大丈夫!!」


自己暗示でもかけているのだろうか?


太ももを叩きながら叫ぶ。


「そうか‥。でも、キシはお前の目の前にいるんだよ。こんなに近くにいて逃げられるのか?」


「‥え?」


「じゃあな。」


短い悲鳴をあげ、高橋緑は鈍い音をたて床に倒れた。


高橋緑を見ると、じっとオレの方を見つめたまま動かなくなっている。


呪ってやるとでも言っているように‥。


さて次は甲斐聡詞か‥。


血のついたゴム手袋を見つめながら、甲斐聡詞が行きそうな場所へ歩み寄る。


ここまで生徒に誰一人会わないことが、オレにとっては嬉しいことだった。


ふぅー、疲れたな。


さすがに一日二人はやりすぎたか。


まぁ、いいか‥。


ゴム手袋を外し、メールを打つ。


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キシです!

ババぬき拝見いたしました!
とても素晴らしいです。

今回途中棄権が二名いました。

なので、このゲームに負けた者を甲斐聡詞様と高橋緑様とします。

さようなら。

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そのメールを送った数十分後、二人は冷たくなった姿で発見された。