「二人とも殺して逃げる…ですか?」
「大正解~!」
そう言いながら、佐東未来はナイフを握り直し、ジリジリとオレたちに近づいてくる。
カタッ…。
その時、廊下の方向で微かに音がした。
ふと佐東未来を見ると、オレたちという獲物に集中していて気づいていない。
川辺あかりも恐怖で、それどころではないようだ。
オレは片腕を広げ、川辺あかりの前に持っていく。
それがオレなりの防御だ。
このままだと完全にオレも川辺あかりも殺されてしまう。
もしもあの音があの人が来た合図なら、オレたちは助かるかもしれない。
リスクもあるし、川辺あかりにも迷惑がかかる。
「おい、未来。最後に清川修也としての忠告だ。自首しろ。」
「もうキシはやめたんだ~?自首する気はないよ~。二人とも殺す。」
そうか……。
「ちょっと…!清川どうするのよ。」
川辺あかりがオレの耳元で小さく呟く。
佐東未来には聞こえていないようだ。



