「さて、このうっとうしいフードでも脱ぐか!ど~せ誰なのかわかってるんだから。いいよね?」
そう言いながら男はオレたちが反応するより先にフードを脱ぎ始め、オレに向かってニヤリと笑った。
その瞬間に男に対する恐怖が膨れた。
「え?誰、この人…。」
川辺あかりがそう言ってもおかしくない。
なぜなら川辺あかりとこの男には何の接点もないのだから。
「そうだな…、オレの幼なじみだった男だ。」
「何?その過去形。だったって~!幼なじみの男でいいじゃないか。」
男はハァとため息をつき、両方の手のひらで天秤しているかのような動作をした。
「うるせーな。お前の顔を確認して、憎悪がわいてきた。未来…。」
男…いや、黒いFUTUREの正体はオレの幼なじみ、佐東未来だった。
佐東未来はため息まじりに息を吐き、一緒にいた中で始めてみせる表情をした。
感情のない無の顔だ。
普段は優しい笑顔で老若男女問わずに好かれている佐東未来。
だが、教室にはオレの中の佐東未来はいなかったんだと虚しくなった。



