人間ゲーム



異様な冷たい空気がオレたちを巻き込む。


夏だというのに妙に寒く感じ、背中に冷たい汗が流れた。


「何、実名を暴露してんだよ…、おかげで誰なのかわかったじゃねーか。」


男と正反対の笑い方をしながら、弱々しい声で呟くように言う。


まだ信じたくないという気持ちが上回り、まるでまだあの夢なんじゃないかと願いたくなる。


夢なら…もうさめてほしい………。


もう一度、この悲劇がただの悪夢でいてくれ。


頬をつねるとジンワリと痛みが伝わった。


夢じゃ……ねーな。


人間は思っていることは伝わらない。


以前は都合がいいと思っていたが今はその逆。


オレの気持ちを知らない男が話し始める。


「ははっ、いや~気づかないと思ったんだよ。まさかこの計画をお前が夢で見たなんてな~。」


そう言いながら、男は笑う。


笑い方が変わり、もうオレの知っているヤツの笑い方になった。


それは男の正体が誰なのか隠すつもりはないことを意味する。