床に新鮮な血が広がってゆく。
何が起こったのか数秒理解が出来なかった。
「う、ウソでしょ?……伊藤!?」
川辺あかりが急いで伊藤翔へ向かうのを必死で止めた。
案の定オレを憎しみを込めて睨みつける。
それでもオレは必死に止めた。
フードをかぶった人は表情はわからないがクククと笑っている。
体格的に男性だとわかる。
「言わないって約束だったのにー。」
そう言いながら伊藤翔を長めなナイフで次々と刺してゆく。
それをオレたちは見ることしか出来なかった。
「な、何よ……こいつ。」
強気に言っているが、どんどん後ずさりする川辺あかり。
その声がフードの男に届いたらしく、刺すことに夢中になっていたのにピタリと止まった。
「ゴメンね~、こんなお見苦しいところを。」
男はそう言いながら、立ち上がった。
服が血塗れで、鉄のような匂いが鼻をつく。
「よぅ、本当の主催者。いや、黒いFUTUREと言った方がいいのか?」
オレが馴れ馴れしく言うと、男はまたクククと笑い出した。
「もしかしてバレてる??あ~、だから誰にも言うなって約束したのに…このクズが!」
そう言って伊藤翔の頭を強く蹴る。
「ちょっと……清川知り合いなの?」
「あははっ、こんなヤツ知り合いでもねーと言い切りたいんだが…。」
オレが知っているあいつではない。
怒りや悲しみや色々な感情が混ざりあい、上回りつい笑いが出た。



