急いで時計を見ると残り約一時間をきっていた。
まだ間に合う!
「本当、長いわね…時間って。」
川辺あかりは近くにはえていた花を摘んで二人の前に置いた。
「あぁ、今日だけ特別に長く感じる…。オレはあいつが主催者なのか確認する。川辺も行くか?」
オレが言うと川辺あかりはキッと睨みつけた。
これ以上にないほどの憎しみを込めて…。
「当たり前でしょ!もし主催者だったら殴り飛ばして、ボコボコにする!!」
それもそうだよな。
川辺あかりも姉を亡くしたんだ。
そのくらいはしないと気が収まらないのだろう。
じゃあ行こうかと思った時、突然声が聞こえてきた。
「警察だ!そこで何をしているんスか!?」
警察??
声のする方向を向くと、私服の男性が走ってきた。
「え?警察?だったら良かった。早く二人を引き取ってもらわないと。」
川辺あかりはホッとした表情でオレを見た。
だがオレの顔は強ばっていた。
マズい!このままだと事情聴取で厄介な事になる。
だがあの声、どこかで聞いたことがある?
どんどんハッキリと見える顔をジッと見て、それが誰なのかやっとわかった。