川辺あかりはフゥと息を吐いて頭をポリポリとかき始めた。
「取り乱して悪かったわね、あとそれと…。」
途中で川辺あかりモゴモゴと言っていて、何を言っているのか聞き取れない。
「ん?何だ?」
「メールを見たとき頭が真っ白になってて、鬼の存在に気づかなかった…。だから、清川が叫んだから気づいたってことよ!」
ん?何が言いたいんだ??
川辺あかりの顔を見ると、目線は地面を見ていた。
「そうか。で、結局何が言いたいんだ?」
そう言うと川辺あかりは、はぁ?と鋭い目つきで睨んできた。
「これでわからないの!?うわっ、引くわ。」
「はぁ?これでって全然かわらねーよ。しかも何に引くんだよ。」
昔もこんな事を思ったような気がしたが、いつだったのか思い出せない。
「だから~、その………ありがと……。」
消えそうなくらいの小さな声だったが、オレの耳に届いた。
川辺あかりも、ありがとうって言うんだな。
そう言ったら確実に怒られそうだ……。
「…何?」
気のせいか、川辺あかりの顔が赤くなっている気がする。
オレもあまり人に感謝をされたことがなかったからどう反応したらいいのか若干戸惑った。
「あ、いや…。どういたしまし…。」
「キモ!」
「はぁ!?」
くい気味に川辺あかりからキモイと言われ、怒りと共に恥ずかしいさがこみ上げてくる。
いつの間にか、ゲームが始まる前の二人に戻っていた。
この死体のいる異様な空間で…。
「この話はもう終わりだ。」
「そうね…、こんなゲームのせいでメチャクチャよ。ありさは死んでしまったし。」
そう言いながら、死んだありさをジッと見る明かり。
今あいつは何を考えて見ているのだろうか…。
「まるで、三浦百子の呪いみたいね。」
三浦百子の呪い…?



