夢でも現実でも死んでしまった内田幸平にやりきれない気持ちを抱えた。
無念と悲しさと怒りが溢れてくる。
夢の中で内田幸平を殺しておいて、よくそんな事を思えるな…オレ。
都合が良すぎるだろ。
自分に対しても苛立ちを感じながら、オレは持っていた帽子を再び内田幸平にかぶせた。
「…オレが主催者を見つけるから、だから安心して眠れ……。」
これがオレが言える唯一の言葉。
もうオレにはこのゲームから逃げ延び、急いで主催者を見つける道しか残っていない。
オレは両手を合わせて、二人とオレに誓った。
しばらく手を合わせていると、あることに気がついた。
「あれ?静かになった…?」
さっきまで川辺あかりがつんざくような悲鳴に近い泣き声をあげていたのに…。
もしかして気絶でもしたのか!?
そう思い、川辺あかりがいた方向を向くと予想もしなかった光景がオレの目に飛び込んだ。
泣いていない…?
川辺あかりはさっきまで泣いていたのが嘘のように、いつもと変わらない表情をして立っていた。
「…何よ、文句でもあるの?」
オレが驚いた顔で川辺あかりを見ていたことに気づき、オレをキッと睨みつける。
「いや……さっき泣いてなかったか?と思って。ちょっと…。」
「驚いた?まぁ、いくら泣いてもありさは戻ってこないし。悲しむ暇があったらここから逃げないとと思って。それに泣く自分がキモイ。」
その通りだが、川辺あかりを甘く見過ぎていた。
ここまで精神力が強いなんて…。
オレだって、夢の中で広人たちが死んだときは狂った挙げ句に気絶したらしいのに。



