何だよ、急に大声だして…。
走った後なのによく大声が出るよな。
「はいはい、わかったから。そう言えば川辺ありさの方はどうしたんだ?」
「さぁね?散歩に出かけてくるって言ってたから外にでもいるんじゃない?それにしても清川の家が近くて助かったわ。」
いつものように言っていたが、完璧に川辺ありさの事を心配している。
それをオレはあえて言わないことにした。
「あんなヤツが意外と生き残ったりするんだよな…。」
独り言のように呟いたとき、違和感がした。
何でこんなに静かなんだ?
普通なら恐怖を与えるようにドアを叩いたりするのに…。
「やべぇ…ぞ…。」
「何がよ、ここにいれば安心じゃない?」
もう治療が終了したらしく、川辺あかりはバッグの中に救急セットを入れながら言う。
オレも安心と言いたい、だがそれはあの時の渡総馬の表情を見るまでの話で。
「急いで二階にあがれ!!」
状況が判断が出来ない川辺あかりの腕を掴み、急いで二階のオレの部屋へと走った。



