走って逃げる??
「どういうことだー!か……。」
そこまで言ったときオレはあることに気がついた。
血のように真っ赤に染まっている帽子をかぶった男が猛スピードで女を追いかけていた。
まるで、飢えた野獣のようだ…。
あいつには逃げろと言われたがそんなことオレには出来ない。
気がついたときにはもう体は動いていた。
女の所へ全力疾走で向かった。
「は!?バカなの!?」
「今そんなこと言ってる場合か!?来い!」
女の腕をつかみながら走り、オレの家に入った。
お互い息が荒れ、ケホケホとむせる。
いや、こいつなんか体中擦り傷だらけで、今にも倒れそうな顔をしている。
「こんな状況だからって人の家におじゃましていいと思ってんの!?」
「いや、大丈夫だ。ここはオレの家だから…。とにかくあがれ、川辺。」
走っていた女は川辺あかりだった。
川辺あかりは驚いたように目を丸くしてオレを見つめている。
そんな事に気づいていないオレは家の鍵をかけて、男がここへ入ったことに気づいているのか確認しようと外を覗いてみた。
あの男と目があってしまった。



