「皆を助けることが出来るなら…、じゃあ行ってくるから。」
独り言に近いが、ショコラに話しかけてオレは家を出た。
もしかしたら、あのまま家にいたら鬼に見つからないのかもしれない。
だが、不参加者のヤツらも心配だ。
さすがにまだ全員は死んでいないはず…。
それなら、リスクは大きいが生徒たちを助けたい。
左右を見てみると、日陰で猫がぐったりとしていて、陽炎が揺れている。
「やっぱり外は暑いな…。」
額に滲んだ汗をバッグに入れておいたタオルで拭う。
極端な感情を出しすぎたせいで、もう表情が出てこない。
きっと真顔何だろうな…と思う。
その時、遠くから声が聞こえてきた。
オレはバッと声が聞こえる方向を向く。
「…誰だ…?」
数十メートル先から一人の女が走っているのが見える。
だんだん大きくなる人物を目を細めてジッと見つめる。
黒いサラサラしているであろう髪の毛を二つに結びつけて、必死に走っている。
間違いなくあいつだ。
どうしてあいつがこの道路へ?
走っている女もオレの存在に気づいたらしく、オレに向かって大声で叫ぶ。
「清川ー!走って逃げて!」



