「と、とにかく本当に助かりました。えっと…、名前は?」


オレは恥ずかしさなのか、それとも照れくさかったのか、女性警察官を直視することが出来ず、地面を見ながら話した。


「え、自分?名前は天原 神(あまはら じん)。男っぽい名前だけど女ッスからね。」


そう言うと、ニャハハと笑いながら親指をたてた。


確かに女性にはあまりつけない名前だ。


そして顔も制服を着ていなかったら男と間違えるほど、整っていた。


天原神は一見話しやすそうな、誰とでも親しめる人そうに見えるが、近寄りがたいオーラも感じる。


見た目からして、二十代……。


オレが心の中で分析していると、まるで割り込むかのように天原神が話しかけてきた。


「あの時さぁ、何か言いたそうだったッスけど、何だったんッスか?」


まるで目の前に面白い物でもあるかのような、期待感いっぱいの目を向けられる。


「天原さんは話しても信用出来る人間ですか?」


オレが普段喋っているより少し低く、冷たい口調で言った。


それがオレなりの脅しであり、確認だ。


天原神は驚いたのか、目をまん丸とさせていたが、プッと吹き出した。


「そんなもの、自分に聞かれても保証なんて出来ないッスよ。少なくとも他の人には言わないッスけど。」


「いや、それだけで十分です。」


そう言って、オレは天原神に全ての事を話した。


オレが見た夢の件。


そして、それがほぼ現実で起きているという全てのことを…。


天原神はさっきまでとは全く違い、真剣に話を聞いてくれた。


そういう面でもやはり警察官だなと思う。


情報を聞きのがさないように、真剣に聞く姿、それがカッコ良く見えた。