人間ゲーム


それはもちろんゲームをする必要がないからに決まっている。」


声は震えたが確かにオレはしっかりと喋ったはずだ。


向こう側のオレは何一つ表情が変わらない。


「必要がない?お前はゲームがしたくないのか??本性を知りたくないのか??」


やめろ……。


口に出したいが喉で引っかかって上手く出てこない。


「お前は復讐しないのか?憎くないのか?」


何を言ってるんだ??


「復讐なんてしても何も解決しないだろ?それにオレは憎いことなんてないぞ。」


憎いものなんて何一つないはずだ。


少し沈黙が流れて向こう側のオレが不気味に笑い始めた。


「な、何がおかしいんだ?」


怒りと恐怖で混ざった感情をそのまま声に出した。


そうしないと、オレがどうにかなってしまいそうだったから…。


「夢であっても覚えているだろう?どんなに大切だったか。」


不気味な笑みを見せながら向こう側のオレは二、三歩ほど歩いた。


するとその後ろから一番会いたかった人が現れた。