家へ帰ると予想していた通り、母さんが真っ青な顔をしてオレに近寄る。
近くにいた広人も目をまん丸に広げて驚いている。
「どうしたの!?もしかして誰かに殴られたとか!??」
母さんがオロオロしながら、救急箱を持ってきた。
違う‥‥。
心の底からそう言ったが、声には出てこなかった。
オレがもう少し早く鳥沢海の所へ行っていれば殺されなかったかもしれない。
きっと明日にはテレビニュースで奇妙な殺人が流れるだろうな‥。
いろいろなことを考えでも声に出さなければ、相手に伝わることはない。
だが、今伝えれないことが、とてももどかしかった。
救急箱の中からすり傷に消毒液をかけながら考え続ける。
そういえば、鳥沢海が殺された後の数分後に山崎ララが殺された。
いくらなんでも早くないか‥?
でもな‥‥‥‥。
グルグルと解決策が見つからないまま、疑問が頭の中で回り続ける。
「兄ちゃん、最近変だよ?」
広人が心配そうにオレを見る。
いずれ知られる出来事。
それなら今言っても変わらないか。
「二人とも聞いてくれ。実は今日オレと同じクラスの生徒が二人死んだ‥。」
衝撃の言葉に二人は言葉を失った。
「きっと葬式とかあるから‥、オレちょっと寝るわ。」
そう言って立ち上がったが、二人とも放心状態らしくまだボーッとしている。
そんな二人を横目にオレは自分の部屋へと向かった。
「今日は‥‥‥、いやこれから大変になるだろうな。」
そう呟いて一直線にベッドへ向かい、深い眠りについた。



