「へ‥、へ~そうなの!だから何??
別にゲームに負けなければいいだけの話じゃない?」
思ってもいなかった言葉にオレの方が困惑してしまった。
「いや‥、そんな簡単なゲームじゃないと思うぞ。理不尽なゲームだって‥。」
「そんなもの、その時に考えればいい話じゃない?バカじゃないの?だから清川の頭はカタカタなのよ。」
何だよ、カタカタって‥‥。
川辺あかりのおかげなのか、いつの間にかオレは落ち着くことができた。
「あははっ‥‥。」
いろいろと予想外なことが起きて、オレはつい笑ってしまった。
面白かったわけではなかった、だが何となく笑ってしまったのだ。
それを川辺あかりは聞き逃さなかった。
「何笑ってんのよ!ついに頭もイカれたの!?」
携帯電話ごしで川辺あかりが怒っているのが見なくてもわかる。
「いや、教えてくれてありがとう。」
その言葉を聞いて、川辺あかりは驚きが隠せてないような声で、アワアワ言っている。
何だ?オレ変なこと言ったか??
「ななな、何お礼言ってるの!?ビックリしたわ!!言っておくけど、清川のこと嫌いだから。」
いや、薄々気づいてたんだけどな‥。
「そんなに驚くことか?まぁ、川辺がオレを嫌ってんのは知ってたけどな。オレも言うけど川辺のこと嫌いだから。」
最後に本音を口にして次はオレから会話を終わらせた。
「ふぅ‥‥‥。最初で二人か。」
オレがそう呟いたときにはもう笑顔が消え、真顔のまま家へと向かっていた。
今日はもう、余分な感情をつくることが出来ない。
たった数時間で一気に老けた気がする。
「最後までに何人残るだろうか‥。」
他人事のように呟きながら、ヨロヨロと歩く。
途中で通りすがりの人から、まるで汚いものでも見るような冷たい目がオレに向けられる。
誰も話しかけはしなかった。
きっと関わりたくないのだろう。
オレはため息をつきながら、改めてオレの体を見た。
髪はボサボサ、体はすり傷だらけ、服は所々血がついている。
そりゃ、人からそんな目で見られても無理はないか‥。
普段でも家から学校の距離は遠く感じるのに、今はもう果てしなく遠くにあるように感じてしまう。
そして時間をかけて、やっと家にたどり着いた。



