「なんで‥‥。」
「え?何か言ったか?」
川辺あかりは独り言ぐらいの音量で呟いているため聞きとれない。
少し携帯電話の音量を上げる。
「なんでゲームが本当だと思ったのよ!
普通くだらないと思わない?なのに清川はまるで知っていたみたいに‥。」
川辺あかりの息がハァハァと荒くなっているのが聞こえてくる。
そう言われて当然か‥。
「だよな‥、オレだって驚いてる。本当に起きるなんて思いたくなかった。」
「だったら‥。」
「これ以上は言えない。とにかく、これから想像以上の命をかけたゲームが始まるはずだ。」
もし夢のことを川辺あかりに話したとしても信じるわけない。
それよりも、誰でもいいから今自分たちがどんな状況にいるのか理解してほしかった。
川辺あかりがこれ以上混乱しないように気をつけながら説明をする。
川辺あかりは静かにオレの話を聞く。
一通り話し終えて、沈黙が流れた。
あれ‥手が濡れてる?
ゲームで夢中になって気がつかなかったがオレの体がすり傷だらけだった。
拳からタラタラと血が垂れている。
オレ走っただけだろ‥。
自分にツッコミながら、川辺あかりが口を開くのを待つ。
そしてやっと声が聞こえてきた。



