携帯電話を持つ右手の揺れを必死に左手で固定しながら山崎ララの電話番号を入力する。
仲間がいないなら、メーケは今から山崎ララの所へ向かうはずだ。
それならまだ間に合うかもしれない。
プルルル‥。
プルルル‥。
「ただいま電源が切られているか電波の届かない場所に‥。」
機械音が冷たく聞こえてきた。
「クソッ!何で出ないんだよ!!」
オレは体力の限界で足がもつれ、勢いよく地面に倒れ込んでしまった。
足を見ると、右足が擦り切れて血で真っ赤に染まっている。
「クッソォォォォオオオ!!」
怒りまかせで拳で地面を叩く。
何でオレはこんなに無力なんだ‥?
ヤバい‥気力までもが‥。
プルルル‥。
「え‥?」
その音はオレの携帯電話から聞こえてきた。
もしかして山崎ララが!?
確認せずに急いで電話にでる。
「もしもし!!」
「あ、あの‥川辺だけど‥。」
川辺あかりか‥。
川辺あかりにはわからない聞こえない程度でため息をつく。
「何だ??」
自分でもわかるぐらいの冷たい口調で言ったが、川辺あかりはそれには気にせず話し続けた。
「ララが‥‥‥こ、殺された。」
「は!?」
そんなはずはない!!
だって鳥沢海が殺されてわずか数分しかたっていない。
いくら全力疾走をしたからといってそんな短時間に移動出来るはずが‥‥。
「ちょっと!聞いてるの!?」
「あ?あぁ、川辺何でそんなこと知っているんだ???」
オレがそう言うと黙りこみ、少したって震えた声で喋り始めた。
「電話した後、気晴らしに散歩してて‥
そしたら交番の近くでララが‥‥‥!」
途切れ途切れだったが、川辺あかりははっきりとした口調で言った。
頭の中が混乱し始める。
いったい、どういうことだ??
交番の近くだということは、きっと警察に事情を説明しようとしたんだな‥。
交番の近くで人殺しなんて、どんだけ大胆なヤツなんだ。



