それから何とか授業が終わり、あっという間に放課後になっていた。


本当にあっという間だった。


「修也は部活に入るのか?」


前から友だちだったかのように翔は馴れ馴れしく話しかけてくる。


「オレは部活に入る気ないから‥。」


少し気を使いながら応える。


案の定翔はわかりやすいくらい落ち込んでいた。


それに気づかないフリをして、オレは改めてあたりを見渡した。


そしてあることに気がついた。


現実でも会いたかった女子生徒の姿がない。


「なぁ、翔。あそこの机の上に花が置かれているけど、何か起きたのか?」


オレがその机を指差しながら話す。


最後まで聞いた翔の顔が少し曇っているのがわかった。


さっきとは少し別の表情をしている。


「あぁ、一ヶ月ほど前かな?女子生徒が自殺したんだよ‥その名前は‥。」


「三浦百子‥。」


翔がまだ話している途中だったが、思わず口にしてしまった。


その瞬間、翔は驚きオレを見る。


「‥何で知っているんだ?」


顔はまだニヤニヤしているが、声が少し震えていて真剣だということに気づいた。


「あ、いや‥。前この学校に来たときに聞いたことがあって。」


そう言うとまだ疑問が残っているような顔をしているが納得したようだった。


「そうか‥、そうなのかー!あははっ、それだったらそう言えよー!」


翔の元気な姿を見て、悲しく思うオレがいる。


空元気のようにも見えたのだ。


それにオレはおうっ!としか言うことができなかった。


喉のところで言葉が突っかかったようで
、とてもモヤモヤした。


そして学校生活一日目は色々と心臓の悪い一日となった。