「川辺‥か?」


女子生徒たちの中に、夢の中で同級生だった川辺あかりがいたのだ。


その言葉に周りにいた女子生徒たちも驚いていた。


もちろん川辺あかりも驚く。


「え?何?あかりと知り合い!?」


「いやー、こんな男知らない‥、どこかで会った??もしかして元彼?」


意外な言葉にまた驚いてしまった。


オレのことを知らないということではなく、オレを元彼と言ったことに驚いた。


いや、正直あ然としてしまった。


「あれ?当たり??ゴメンね~。」


はっ、ヤバい!!このままだと川辺あかりの元彼になってしまう!!


「いや!違いますよー、あなたも川辺なんですね?オレの友だちと見間違えました!」


爽やかな作り笑顔をすると、川辺あかりは聞こえるか聞こえない音で舌打ちをした。


そのことに周りの女子たちは全く気がついていない。


「残念!あかり違うって!」


「そうみたい!残念~じゃあね!」


そう言うとさっきまでオレを囲んでいた女子生徒たちは、門をくぐり抜けて歩いていった。


「まさかの言葉だったぞ、今のは‥。」


まだ川辺あかりの言った言葉が頭からはなれない。


それにしても少し雰囲気違うな。


夢ではもう少し言い方がきつかったのに。まぁ、その人物が実物しただけでスゴいことだが‥。


本題を思い出したのはその数分後のことだった。


急いで体育館へ向かうと、一年生と思われる生徒たちがモップで床を綺麗にしているところだった。


あ、広人だ‥‥。


その中に広人の姿がいたがその光景が頭にひっかかった。


もし夢と同じなら、広人は部活内でイジメられているはずだ。


なのに、他の一年生も隅で雑談している二年生も広人をイジメている素振りをまったく見せない。


それともこれから起こることなのか??