久しぶりの感覚で母さんの手料理のカレーを食べて本当に幸せだった。
あの夢を見る前は食べることが当たり前でそのことに何も思ってなかった。
だが、夢で家族を失い、一人暮らしをして初めて家族の大切さを実感できた。
そういう面ではあの夢を見て良かったと思うが‥‥。
食べ終えるとすぐに自分の部屋へ向かった。
まだ家族と話していたかったが、知りたいことがたくさんあって話す余裕がなかったから。
オレの部屋の真ん中にある黒いテーブルの上に白紙のノートとペンケースを置いた。
今わかることを書いて、オレがおかれている状況を理解しなければ‥‥。
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《夢の件。》
家族が広人のイジメが原因で自殺。
私立校で命をかけたゲームをした。
オレが人を殺した。
三浦百子がイジメが原因で自殺。
三浦百子と伊藤翔は兄妹だった。
《現実の件。》
家族が自殺していない。
季節は夏で高校二年生の一学期。
転校もおそらくしていないだろう。
三浦百子もおそらく自殺してない。
オレが約半年過ごしたあのクラスも実在していないはずだ。
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