きっと今、翔は自分への苛立ち情けなさでいっぱいのはずだ。
オレだってそうだったから‥‥。
しばらく下を向いていた翔だったのだが、フッと短いため息をついて顔をあげた。
その時にはもういつもの翔に戻っていた。
「いや~、取り乱してゴメンよ~!百子とオレは中学卒業するまでずっと暮らしてたんだよ~、でも親が離婚しちゃってさ。」
翔はまるで昔の思い出を想い出しているかのようにニコニコと遠くを見つめながら語りはじめた。
それをただ頷きながら聞くオレ。
そして周りではゲームの真っ最中だ。
この場所だけ違う所にいる気分になる。
うるさく感じない。
翔の話しが終わった頃、オレはある疑問を翔に問いかけた。
「イジメたヤツらを恨まないのか?」
「恨む?アイツらをか?確かにそう思った時期もあったが、恨んでも解決しねぇだろ??だからオレは笑ってるんだ。」
「え‥?」
「仮にそれで復讐したって百子が喜ぶはずねぇーもん、アイツと双子だからわかるんだ。」
その言葉にオレは翔が羨ましく感じた。
オレもそう考えていたなら復讐なんてしなかった‥。
この時オレが今までしたことに初めて後悔した。