「三浦百子の兄貴なんだろ?双子の。」
オレがそういうとバッとオレの顔を見る。
二人の間に沈黙が流れる。
翔の顔は今まで見せたことのない表情をしていた。
「‥‥‥なんで知っている?」
やっぱりな‥。
翔が兄貴と知るとなぜか安心した。
「オレ、三浦さんが自殺した日に夜教室に行ったんだよ、そしたら三浦さんからこの財布を渡された。」
ネコバッグの中から財布を取り出すと翔の目に涙がたまっていた。
初めて翔の泣く姿を見た。
「百子が‥‥ありがとな。」
嬉しそうに笑う翔の顔を見たとき、三浦百子にそっくりだった。
「あの日翔、行ったんだよな?」
「あぁ、メールが届いた‥その時は頭が真っ白になってな?夢中で学校まで走った‥‥だがその時には。」
「いや、その時まだ生きてた‥多分オレがついた時よりお前は早く来てたはずだ、鍵がかかってなかったからな。」
「嘘だろ‥?生きてた???」
下を向く翔から涙がこぼれ落ち、床を濡らした。



