人間ゲーム



「あ!」


「ん?どうした~?課題忘れたのか?」


「いや、課題は入ってる‥。」


バッグの中には課題と一緒にあの財布も入っていた。


そうだ!!


三浦百子との約束を忘れるところだった。


急いで兄貴にこの財布をあげねーと!!


「お~い、どうしたー?」


翔がオレの顔の前で手を振る。


「だ、大丈夫だ‥そういえば翔に五千円あげてなかったな。」


「え?マジでもらえるパターン!?別にいらねぇよ~、金に困ってねぇしな。」


自分のバッグからパンパンの財布を取り出した。


少しイラッとくる。


「でも一応誰が渡総馬のことを報告したのかは言っていいよな?」


「お好きにどうぞ~、それで恨まれようが関係ねーや。」


翔がニヤニヤしながら生徒たちの方を見る。


「えーと、皆さん!伊藤翔‥‥‥。」


伊藤翔‥??


「なんだ、言わないのか~?」


翔がオレの方を見ながら呆れた声を出す。


まさかそんなはずは‥‥!?