生徒たちはオレに怒りを覚えたが、渡総馬にたいして泣く生徒はいなかった。
これが人間の本性なのか‥。
とりあえず倒れている渡総馬は隅に置いておこう。
渡総馬を引きずりながら教室の隅に置く。
それを生徒たちは目で追って、また罪のなすりつけ、裏切りあいが始まった。
「ここでゆっくり休んでくれ。」
そう呟くとまたあの教卓の机の上に座る。
「それが修也の本心なんだな~、意外ではなかったけど。まぁ、修也がキシっていうのも何となく気づいてたけどな。」
いまだにニヤニヤしている翔が話しかける。
何となく気づいてた?
「本心?‥だな、多分。それよりオレがキシって気づいてたってどういうことだ?」
「多分ってなんだよ~。ま~、何となくだけどな。正直者ゲームのとき、修也はオレにだけメールが届いたって言ったろ?」
そう言えば、そんなこと言った気がするな。
オレは無言のまま、翔の話を聞き続ける。
「そのとき修也はトイレに行ってて、修也が一番最初とは知らなかったはずだ。だから変だな~って。お~!何かオレ探偵っぽいな!!」
なるほどな、だからあのとき翔の笑顔が一瞬消えたのか。
「ずっと考えてたんだけど、なんで修也がそんなことをするんだ?理由がないと出来ないだろ?」
理由か‥。
「そうだな、復讐だよ‥この学校へのオレの家族は自殺したんだ、弟広人のイジメが原因で‥‥!!」
翔の顔から一瞬笑顔が消えた。
心あたりでもあるのか?



