となり

樹が話しかけてくれないなら、私が話しかける。




「ねぇ、待って!」



樹の背中に向かって声をかけた。


すると立ち止まった樹。ゆっくりと、振り返る。


樹の表情がよく見えた。


少し困ったような顔だった。


それを見てまた悲しくなったけど、気にしてられるか。


「なんで…私のこと避けるのっ?」


まず最初に一番聞きたかったことを聞く。


だけど樹は答えてはくれなかった。困った顔をするだけで。


「やっぱり、あの告白が迷惑だったから?好きになられちゃ、イヤだった?」


そう言うとやっと声を出してくれた。


「…い、いや迷惑なんかじゃ……」


だけど言ってくれたのはそれだけで、そのあとは考え込むような感じだった。


「だったら…なんでよ」


いつもと違ってはっきりしない樹に少し苛立ちを感じてしまう。


「はっきり言ってよ。私バカだからわからない…」


どんな言葉でも受け止める。そう決意して来たんだ。何を言われても構わないから、樹の本心を聞きたいよ。