となり

「何もしないままだと、何も始まらないよ~?」


片岡さんの言葉が私の胸に響いた。


何もしない。


そう、私はこれまで何もしてないんだ。


告白して気まずくなってスルーされるようになって。


何もしなければ、何も始まらない。


たとえ、何も始まらなくても、やっぱり何かしなきゃなんにもならないんだ。


私の中で何かが動き始めた。


パッと片岡さんを見る。


「ごめん、悪いんだけど…先帰っててくれるかな?」


その言葉で何かを感じ取ったのか片岡さんは「うん」と言ってくれた。


そして方向をくるっと、樹が行ったほうに変えて早歩きで行く。


後ろから


「がんばれ」


という片岡さんの声が聞こえた。


もうウジウジしてられない。


こんなの、もう嫌だから。