となり

それから20分ほど経ったくらいの時に、樹たちが席を立った。


教室を出る際にまた私の前を樹たちは通って行った。


「ごちそうさま!」


とそれぞれに調理組に言いながら。


その中、私はちゃんと聞き取った。



「うまかったよ」



樹のその言葉を。


そのまま通り過ぎて教室を出ていった。


私は自分の頬が赤くなったのがわかった。


…あっつ……。


自分の手で頬を冷やそうとしたけれど、さっきまで鉄板で焼きそばを焼いていたものだから、手が温かくて冷やすことはできなかった。


『うまかったよ』


…あんたに褒められたら、嬉しすぎて顔真っ赤になっちゃうんですけど…。