となり

しばらくは2人とも泣いて話せなかった。


だけど、それから落ち着いてから母親は話を始めた。



「…愛華が生まれたばかりのころ…愛華の父親が浮気したことから上手くやっていけなくなって、離婚したの。1人になったけど、その時は…1人でもちゃんと育てていこうって、思ってた」


私は今度は何も言わずにちゃんと黙って聞いた。


「思ってたのに…。まだまだ未熟で、あんたに泣かれたら何がいけないのか、どうしたらいいのか、とか全然わからなくて…。


親の反対を押し切って結婚せいで、親に頼ることもできなくて…。だんだん子育てが嫌になってしまたの……」


ものすごく申し訳なさそうに話す。


「それで…愛華を家に置いて、外に出たの」


「………」


「ずっと子育てに追われて、家で窮屈な思いをしていた私は久しぶりの外に舞い上がったわ。なんて外は楽でいいんだろうって、子育てから解放された気分だった…。


まだその時私は19だったの。無責任だけど、子供を育てるということがちゃんとできなかったの。遊びたいと思ってしまったの」