となり

「…小さいころから？」


「……うん、そうだね」


片づけをしながら樹の質問に答える。


「…ごめん、嫌なこと聞いちまって……」


私にそんなことを聞いて悪いと思ったのか、謝ってきた。


「大丈夫だよ、気にしないで！それに私…母親に嫌われてること、なんとも思ってないし」


ずっと、親に愛されてこなかったこと、そんなこと何とも思わない。


その代わり、私だって母親のこと嫌いだったし。


「……ホントに、そうか？」


「え？？」


少し遠慮がちに樹は言った。


「…母親に嫌われてて、なんとも思わないなんて…ありえないと思うけど」