となり

「樹、ありがとね!」


お礼を言う。


「お、おう!いいってことよ!」


そう言った樹がなんとなくいつもと違うような気がしたけれど、私は気にせずにいた。


「ってか、もうこんな時間だな!」


時計を見てみると、すでに6時になろうとしていた。


「親御さんも帰ってくるよな!急いで片付けようか」


……親……。


「別に、親は帰ってこないよ…」


「…え?」


あ…思わず言ってしまった。


「帰って、来ない?」


怪訝そうな顔をする樹。