となり

「おい!愛華!」


ん?!


呼ばれていたのは私か!!


慌てて振り向く。


「お、やっと気づいてくれたか」


「ご、ごめん、ずっと呼んでたのは聞こえてたけど…私を呼んでるとは思わなかった」


「なんだ、そういうことか…。もしかして機嫌悪いのかと思った…!」


樹はそう言って笑った。


「…で、何か用?」


と私が尋ねると…。


「いや、別に用はないんだけど、たまたま見かけたから!」


「そう」


素っ気ない返事になってしまったけど、ホントはすごくうれしかった。用はなくても声をかけてくれたことが。