となり




「…ごめん」



短い言葉だったけど、その声の持ち主が樹だってわかるのには十分だった。


私は咄嗟に壁に隠れた。


「……そう、ですか…。やっぱり、姫川さんとの噂はホントだったんですか…?」


「ううん、愛華との噂は違うよ」


……帰ろ…。


樹との噂は間違ってるけど、なんだかはっきり否定されると切なくなった。


足音を立てないように教室に戻ろうとした。


その時…