「ちょっと先生!! なんで雨宮さんのお墓の場所を知ってるんですか!!」




思わず、先輩から携帯を奪い取る。

突然聞こえた私の声に、先生は驚くことはなく、平然と言う。

GSナメんなよ。と。


……いや、別にナメてないですけど。
どうして知っているかを、知りたかったんですが……。




「……先生、どうして、知っていたんですか?」




今度は落ち着いた口調で、先生に問う。




『今回の件で世話になったからな。 墓参りくらい、当然だろう?』

「……なるほど。 で、なんで私たちには教えてくれなかったんですか」

『そりゃあ、アレだ。 ガキのお守りしながら墓参りっつーのは、面倒だからだ』




……この野郎。
そんっな理由で黙っていたなんて。

確かに、先生からすれば私たちは子供でしょうけど。
連れて行くのは面倒でしょうけども。

でも、黙っているなんて、さすがにヒドいです。




……スゥ、と息を深く吸い、最上級の笑みを浮かべる。




「今度の日曜日、お墓参りに行くんで車を出してくださいねっ」




かっこ、ハートマーク。




『……やっぱりお前は、幽霊より怖いな』




そんな声が聞こえてきたけれど、無視して切ってやった。




「先輩、聞いての通り日曜日はお墓参りに行きますから」

「ん、了解。 半沢ティーチャーを捕まえておくよ」

「お願いします」




苦笑気味に笑う翔先輩に頭を下げ、携帯を返却。

今度の日曜は雨宮さんのお墓参り。
先生が逃げても絶対捕まえる。

そう心に決め、すっかり暗くなった道を先輩と再び歩き出した。