……は?


「だから、同じあの日を体験をしたキミに、それだけ伝えたかったんだ。それまでにこんなに時間が掛ってしまったけど」


 何を言ってるのだこの人は。置いていかれる私をよそに、サク君は悔やむように拳を握って私をまっすぐに見つめて。


「君が学校での僕を知らないのも当然なんだ。だって違うんだから」


 相変わらず意味がわからない。けれども、納得できる部分は多くあった。

記憶の食い違い。
無理やり納得してみたけれど、やっぱり違うものは違うんだ。

でも、そうだとして、この世界の私がいない…?

それを問うとサク君はまた苦しそうな顔で言葉を押し出すように言った。


「本当に申し訳ないと思ってる。僕があんな約束をしなければ…」


 ゾクリ、ひとつの寒気。この後にくる言葉がなんだかわかるような気がする。

「君は約束通り会いに来てくれた。でも、その時に信号無視の車が…それで、君は…ミズキは…」

「…そっか」


 ここまで聞いても私は不思議と落ち着いていられた。
だって、死んでしまったのは、私じゃない。私自身は、こうして生きている。

死因がそれなら、私はある意味行かなくてラッキーだったというわけだ。

それでいいじゃないか。


それで。




それで…。