扇子をどかした師匠を横目に、「そういえば」と口をひらく。
「カルハは今どこにいるんだよう。離れちゃマズイんだろ? からからっ、ま、おいらにゃ関係ないけどー」
「……あのクソ悪魔なら、姐さんとこで毛づくろいされとんで。チッ、あいつ後で締め上げたる…っ」
「からからからっ!相変わらず師匠はカルハに振り回されっぱなしだねえい」
おいらが笑ったことでついに業を煮やしたのか、「もう我慢できひんっ」と言うなり師匠はどこかへ行ってしまった。
まあ、お琴ねえさんのとこだろうけど。
「からからっ」と笑いながら甘酒を口に含む。
師匠がいなくなって、また静けさが戻ってしまった。
ああ、なんて甘い酒なんだ。


