塩辛い酒よりも、甘ったるいだけの酒が飲みたい。


「………。」


ふと、月を見ながら思い出す。鬼の面をつけたあいつの言葉。


『お前は強くなる。いずれ大鬼になる』


「【羅刹】(らせつ)……か。すっげえ強い奴だったなー。おいらの腹、まだちょっと痛むんだもん。

あああーっ、てか『鬼桃天酒』(きとうてんしゅ)も奪われちゃったしっ。

ま、楽しかったからいいけどー」



酒のせいか、何故だかいつもよりひどく饒舌な気がする。

おっかしいなあー。



「にしても、師匠たちは何を伝えたかったんだろうなあ。おいらにゃ分っかんねえや」



ぐびり、ああ甘い。くそ甘いって。