塩辛い酒よりも、甘ったるいだけの酒が飲みたい。




なぜだがそう、一人になりたかった。

縁側から離れ、屋敷の門近くにある古い大木。そこで一人飲もうかなと。

そう告げると師匠に甘酒と盃を渡された。

なんでも、今日はコレで過ごせと。

もう夜だってのに。あ、いや。夜だからこそ、おいらにゃ打ってつけの酒盛りか。



『本音溜めるんやないで。僕でもカルハでもええから、ぶつかってみいや。
それが辛いんやったら、大木のてっぺん。

あそこなら誰もおらへんし、あんさんの酔い声なんか聞こえんで』


「………。」



去り際に言われたあの言葉。

意味がわからない。なんであんな事をおいらに言ったのか。

まったく、わかんないよ。