塩辛い酒よりも、甘ったるいだけの酒が飲みたい。


そうして「にゃあ」と言って猫の姿になったカルハは、師匠が来るよりも早くこの場を去っていった。

かと思えば屋敷の廊下からバタバタとせわしない音がきこえて。



「はあっ、はっ………サカズキぃ!あの阿呆どこ行ったか知らへんの?!」


「え、あ、おおう。あっち行ったけど……カルハのやつ、なんかしたんだ?」


「あの阿呆っ、僕の姐さんの背中に『お琴はみんなのもの。どうぞお触りください』やって………。

ぶっ殺すッ!!」


「ちょっ、師匠落ち着いてーっ!」



本気で殺しそうなオーラを出す師匠に、慌てて腕に絡みつき止める。


カルハの馬鹿やろっ………ちょっとした戯れどころじゃないんだけど?!

下手すりゃおいらも殺されかねんっ!