笑いたいのをこらえて教卓に向かう私。
本当はお腹抱えて笑いたいけど、さすがに初日はねー。

静かな実紅さんでいきますよ。

引いた番号は32番。

窓側の後ろから2番目!わあー!
いきなりいい席じゃん!心の中ではハイテンション。

「引いたやつから机移動していいぞー」

もー、やる気ないなあ。

教室に机を引きずる音が響く。
自分の机を移動し終わって、座っていると。

前に来たのはー…

ショートヘアで左側に綺麗に編み込みをしている子。

わあ、可愛いなあ。

私はセミロングだから、編み込みしてもむすばなきゃおかしいしなあ。
そもそも自分でできないし!

はあー。
なんでこんな不器用なのかなあ?

自分でも不思議なくらい不器用。

すると突然。

「よろしくね!」

前の子が振り返ってきた。

「あっ、うん!よろしくー」

びっくりしたあ。

わ、やっぱ可愛いなあ。
いいなー。

とか思いながら綺麗な顔立ちに見とれていると。

「おーい」

「わ」

いつの間にか私の顔の前で手のひらを振っていた。

「ふふ、私、倉田咲奈」

「あ、私、実紅!椎名実紅!」

「実紅って名前、可愛いね!」

にこにこと笑って私の名前を可愛いと褒めてくれる咲奈。
あなたの名前も充分可愛いです!

「ありがとう」

「うん!いきなりだけど、呼び捨てしてもいいかなあ?」