「今日からいよいよ開店だね」

やっとお店が再開できるようになった朝、茜さんとともに樹さんも準備を手伝ってくれた。

「千穂ちゃん、ここまでよく頑張ってくれたね。本当にありがとう」

樹さんの笑顔で大変だったことが全て吹き飛んでいく。

「ホント、よく引き受けてくれたわよね。このままお嫁においでよ」
「そ、そんな……えっと……」

茜さんの冗談に戸惑っていると、樹さんが割って入ってきた。

「こら、茜。それは俺のセリフ」
「えっ! いっ、樹さん……!?」

いやいや、冗談だよね……。

嬉しいんだか、悲しいんだか。現実になればいいんだけど……って、大事な日の朝から、何考えてるんだろう! しっかりしなきゃ。

私は気を引き締め直して、看板を出しに下へ降りた。深呼吸して、青く澄んだ空を見上げる。
いよいよ、新しい生活が始まる。

昼間は茜さんが料理を作ってくれるけど、夜はドリンクのみ。それでも居心地のいい場所は作れる。

「ここで頑張るって決めたんだ」

店内へ戻ると二人に迎えられた。

「千穂ちゃん、これからよろしく」
「一緒に、頑張っていこうね」
「はい、よろしくお願いします!」

私は力強く返事をする。ついに『Caféサプリ』新装開店だ。