俺の好きな人?
そんなのいたことねぇよ。遊びで付き合ったやつは多々いるけど…。まぁ、無理矢理だけどな。女って本当に怖い。
俺には本気で惚れたやつがいない。今まで一度も。

前の学校にはしつこい女がたくさんいた。だから親にお願いをして転校させてもらった。一応隠したつもりの顔が、あの真人ってやつのせいでばれてしまった。でも、前の学校ほどしつこい女はいなかった。

梨花って女に放課後の約束をしてしまった。好き…とはまた違うような…。こんな気持ちは初めてだ。

「ねぇ!ちょっと!」

「何?」

「私、陽香っていうんだけど。あんた、私の事覚えてる?」

「え!?俺ら知り合い!?」

「小学校、一緒だったんだけど。」

「あー。居たね。」

「ってか、まだ女で遊んでんの?」

「俺は遊んでたつもりはないよ。」

「は?じゃあ、本気だった訳!?」

「んなことねぇよ。無理矢理に決まってんだろ。」

「ふーん。なるほどね。」

「お前の用終わった?」

「こっからなんだけど。」

「何なの?」

「あんた、梨花に気ぃあるでしょ?」

「別に。ないけど。」

「だったらなんで…。」

「俺の近くにいたし、似てると思ったから。これでお前の用はおわりだろ。もう聞くな。」

「ちょっと!待ちなさいよ!絶対梨花はあんたを好きになんかならないから!!」

無視。こういうときは無視に限る。こいつはしつこい。俺に気が無かったとしてもしつこすぎる。

梨花の名前を出すな。反応してしまうから…。俺はきっと、あいつが気になって仕方がないんだ。

でも、本当に梨花には驚いた。

俺の母親にそっくりだったからー…。