その願いは虚しくも叶わず、上履きが床をこするきゅっ、という音。
「あ、来たからまた今度。じゃ。」
「何それ!冷たいーっ!」
「ばいばーい!」
「つまんなーい。」
十人十色に散っていく。
それならもっと早くいなくなればよかったのに。
実際、真美いい顔してないし。
ため息をついてからこっちに来る。
「ごめん、お待たせ。」
ちょっと気まずそうにしてる顔が、イタズラを見つかったときの仔犬を連想させる。
てか、
「なんで長谷部もいるんだよ。」
「悪い?魔王・恭也にいじめられないように守らないとだからね。」
「じゃあ、愛は魔王を倒す王子様だね。」
魔王にされたあげく倒されるのかよ。
なんだそれ。
でも。
あ…笑った。
それを見た瞬間言おうと思っていた反論はすべて頭から消え去った。
お前が笑ってくれるなら、魔王にだって、何にだってなってやる。
そう思えるほど、真美の笑顔は俺の脳みそを溶かしていくんだ。

