しかし新しい事に挑戦する程のモチベーションがあるわけでもない。


息が詰まるなりにそれなりに安定している日常を送っているからそれ以上のものを望む事もなく現状に甘んじているのも決して悪くはないのは事実だ。


もしかしたら新しい事をするのが面倒なだけではなくて、

本当は望まぬ事が起きて自分が傷ついてしまうのではないかと言う結論にたどり着くが解答は現時点ではないのだ。


それを知るときは実際に行動を起こしてからの事。


なんだか考えている内に訳がわからなくなってきた気がする。


よほどしかめ面をしていたのか


「おい久坂、変な顔で何を悩んでいるんか?家出るぞ」


と声をかけられるまで気が付かなかった。


前原が起きて準備をするまでの間長考していたみたいだ。


「いや……なんでもないけ、そろそろ行くか」


と返答して前原の家を出た。


この日も前原はドアを施錠していない。