そこには、大きなキャリーバックを抱えるお母さんの姿があった。 「胡桃、おはよう!お母さん、もう出発するわね!」 「雅美さんを待たせてるから!」と、慌てたように玄関へ急ぐお母さん。 ───……え? 「ちょ、お母さんっ!」 ほんとに今からヨーロッパに行って、10日間も帰ってこないの? ────寂しいよ。 私のわがままだって分かってるけど、私の家族はお母さんだけなのに。