周りをキョロキョロする私の視界には、やっぱり誰もいない。 「ふっ、ここだよ」 そんな声が聞こえて、視線を上にやった。 2メートルほどの小さなハシゴを上ったところにある貯水タンク。 佐倉先輩はそこから下りてきた。 「…驚かせてごめんね?ちょっと終礼が早く終わっちゃって」 少しだけ眉を下げて笑う佐倉先輩は、最強に眩しくて。 「い、いえ……」 私は俯いて首を横に振ることしか出来なかった。