「先輩に早く会いたくて……寒いのなんて忘れてました!」 ちょっとおちゃらけたような口調で言ってみた。 すると先輩は私をすっと離した。 ……え……? 「そういうこと言うな。……寒いから早く家行くぞ」 そう言って私の手を握るとエレベーターへ歩きだした先輩。 後ろから少しだけ見えた耳たぶは赤かった。 寒さのせい?……それとも。 「先輩、可愛いです……」 「!……懲りないやつだな」 エレベーターに乗って思ったことをそのまま口にしたら、 先輩が呆れたような声を出した。