すでに曲選択していたから、機械からは前奏が流れていた。 「あの、歌始まっちゃ」 「ここ」 私の言葉を遮った先輩が指差したのは、先輩の足の間だった。 「ここに座って歌って」 !!? な、なななんてこった!!! 「な、なに言ってるんですか!」 これはきっと冗談に決まってる! 先輩の前に座って歌なんか歌えるわけないもん! 「俺が胡桃を抱き締めたいだけだから」 「ひゃっ……!」 な、何事!!?