12月も半ばに差し掛かる頃。


先輩の誤解も解けて幸せな毎日を送っていたある日。




「桃琴おはよーっ!何聞いてるの?」


登校してきたばかりの桃琴に近寄ってそう尋ねる。


桃琴はマフラーを取った後、耳からイヤホンを外した。



「最近バラード系にハマっててさ!胡桃も聞く?」


はい、とイヤホンを差し出されて素直に受け取る。


バラード系かぁ……



「ね?いいでしょラブソング!」


私がイヤホンを耳にはめても何も言わないからか、桃琴が痺れを切らしたようにそう言ってきた。