ゴクッと生唾を飲み込む。 私が緊張してどうするの……! 「好きなやつに嫌がらせするようなやつ、ぜってー好きになんねぇから」 ───え……? びっくりしたのはもちろん私だけじゃなくて、 戸惑ったような酒井さんの声は驚きで上擦っていた。 「好きなやつ……?それって」 「お前じゃねぇことは確か」 ハッと息を呑んだ酒井さん。 きっと先輩の変わりように驚きを隠せないんだろう。 だって先輩は王子様だから。 柔らかな口調と優しい笑顔。