でも先輩の声は全くと言っていいほど聞こえない。 だから私は無意識にバンッと勢いよく教室へ入ってしまった。 「胡桃……!」 1番最初に目に入ったのは驚いたように目を見開く恭汰先輩。 久々に瞳が合って、それだけで涙が出そうなくらい嬉しかった。 「鈴宮さん……!」 私に背中を向けるように立っていたのは、さっき告白をしていた女の子。 その子は私の方を振り向くと途端に険しい顔つきになった。